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百六

「ちゃ、ちゃうって蕾!」


「ん? ご主人様、何がですう? あんな悪いおかまなんてえ、さっさとお……」


「あのな、怪しいのはな」

 ここで破近、声を大きくし


「おかまの隣にいた兄ちゃんやねん!」


 だが残念な事に


「そんな兄ちゃん、いましたかあ?」


「蕾よ、確かに横にいたぞ」

 こう言った親分、破近の方を向き


「あれは新入りの岡っ引きで、確か宗吉だったと」


 これに頷いた吟味方


「やっと、二つの条件に満たしたもんが出てきよったわ!」


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