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第十六話 白雪は知っている 一

 草木も眠る、まさに丑三つ時。川原では背の高き草々が、折からの強風により横から煽られている。

 だがよく見ると、その一ヵ所だけは他とは動きが異なっているが?


「この辺りでいいかな」

 その者、むしろにくるんだ物をそこに落ち着かせ、その両手を胸に刺さったままの小刀に添え


「成仏しろよな」


 そう言ってすぐに、己も両手を合わせた。



 そして、その場を後にしたのだが――その一部始終を、二つのつぶらな瞳が見ていたのは知らない。


*仁木悦子「猫は知っている」への、ほんの1%のオマージュ


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