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八十九

「で、昨日来た時はな、銀冶は三つ目に手をつけたところやったわ」


「それがどないした?」


「それが今や、すでにその三つ目も空っぽなんやわ」


 お富さん、これを聞いても頭をひねるだけで


「別に計算おうとるやないけ?」


「ええか? 初日にはな、金治、銀冶の二人も入れて何名やった?」

 

 すでに先ほどの墓で答えていたお富、間髪いれずに


「さっきも言ってたとおり、十二人やろ?」


「ほな昨日は?」


「うーん」


 腕を組んでいる女房である。


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