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七十二

「ほな、神隠しっちゅうんかい? この森に住む天狗の仕業? はたまた平家の幽霊の仕業? ざけんな、阿呆髭!」


 もはや、この世の誰にも止められない――



 そして翌朝、やはり山鳥の鳴く頃


「まるで鬼の如き形相で、あそこまでボロクソに言われますと……これも致し方のない事かと」


 これに黙ったまま、足元辺りを見ているお二人さん。

 そこに並べてあるのは――男女それぞれの草履


「間接的に人様を殺めた事になりますな……鈴木様ご夫妻は」


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