二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

六十六

　その場で並んでおむすびを食べ始めたご夫妻

「これもらうで」

「こ、こらお富、自分の食えや！」

「わてのって……誰が、こんないびつなむすび食えるかい！」

　やがて腹を満たしたお富さん

「わてなあ、実は今回の件で思うところがあんねん」

「何や？」

「皆、互いに顔見知りかも知れへんけどな、各々がな、ここまで悪意を持つほど懇意にしてたんか、っちゅう事やわ」

　破近、すぐにこの意味が分かったようで

「それって、おもろい発想やな」