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六十二

「特に奥さんの方が……でんな?」


「あ、いえ」


 これに破近、笑みを浮かべ

 

「アハハ。ま、ホンマの事やさかいな」


 そこで、米びつから米を取り出し研ぎはじめた銀冶。

 破近、それを見て


「おたくの言われたとおり、もう三つ目の米びつに入ってまんな」


「へい。食欲のない皆さんと、食欲のあられるお方……差し引きぜろ、という事でしょうか」




「お富。わい、今から風呂に行ってくるさかいな」


「何や水臭いやんけ、わても行きまんがな!」


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