二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

五

　一方、こちらは自宅で旅の用意をしている冷奴姐さん。

　先ほどより小箱の中を見やって、何やら思案をされている。

「フッ。やっぱり、つけていこうかね」

　そう笑って、さふぁいあを手に取ったのだった。

　今日は芸子時代の仲間らとの同窓会も兼ね、箱根までの温泉旅行と洒落こんでいる姐さん。

　早々に、待ち合わせの場所までやってきたところ

「おや？　冷奴じゃないかい？」

　いきなり、その名を呼ばれた姐さん

「あら、女将さん。ご無沙汰で」