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四十四

 ここでお富さんが


「右しかあらへんな。どこ行きよったんやろ、左側?」

 そして隣を向いて


「われ、谷底覗いてみ!」


「無理っちゅうてるやろ?」


「ホンマ、情けないヤッチャな! ほな、このわてが見てくるわい!」


 怒鳴ったお富さん、さっさと谷のすぐ前まで行き、すぐに四つん這いになっている。

 そして、そんな女房の姿を眺めている亭主。その胸の奥深くに住み着いている悪魔が、この時顔を覗かせ


「このまま強風に煽られたらええねん」


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