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十九

「さあ皆様お揃いになられたところで、早速各々の方に自己紹介なんぞしていただきたいと」

 笑顔の徳次郎、左側を向き


「では、まずは先生からお願いします」


 これに先ほどの初老の男が、自慢そうに顎鬚をさすりながら


「遅れて申し訳ござらぬ。わしは錦町で医者をやってる赤川と申しましてな」


 それを聞いた破近、ポソッと


「ああ、あれが赤髭はんかいな」


「あのオッサン、そんなに有名なんか?」


「そや、お富。名医の誉れ高き……やわ」


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