二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

十四

　たかだか百尺足らずの吊り橋だったが、這ってようやく渡りきった破近

「んもう、端からこれかいな」

　そして、目と鼻の先にある屋敷の戸を開けたところ

「これはこれは！」

　中から出てきた、恐らくは成金徳次郎が

「鈴木様ですな？」

「はいな」

　ここで相手が

「あのう、誠に失礼ではございますが」

「ん？　あ、ひょっとして、この青い目の事でっか？」

「その通りで。まるで湖如き色かと」

「わい、半分ばかし蘭国の血が混じってますさかいな」