76/3502
第三話 黄色い宿屋の謎 一
いつもの、いつもの橋のたもと
「あら?」
その青き二つ目でそこら中を見回している、これでも吟味方与力。
「あ、そうやったわ! 姐さん、温泉に行ってるんや!」
その時やはり、この男がやってき
「てーへんだ!」
「あいあい」
いきなり喜助、素直に返事をしてきた相手の額に手をやり
「ど、どうかしたんです? 熱はないようですが」
「はあ? やわ! 与力になって真面目になったんやで!」
――つうことは、同心時代は適当だったのか? おい!
*ガストン・ルルー「黄色い部屋の謎」への、ほんの1%のオマージュ