二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

六

　この時

「旦那、てーへんだ！」

　いつもはあれだけ鬱陶しがられてる喜助だったが、今日はまるで神の助けのように思えた破近。

　すぐに立ち上がり

「ほな行くで！」

「行くって、まだ何にも言ってませんが？」

「え？　そ、そらそうだった。で？」

「へい、木俣様がお呼びでして」

　喜助、ここでようやくお富に気づき

「あっ！　奥方さん、お見えだったんで？」

「喜助さん、ご無沙汰です」

　だがこの時

「そんなんどうでもええから、さっさと行くで！」