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第十三話 殺しの連続曲線 一
奉行所の一室で、同心らが書き留めた事件簿に目を通している破近。
これらを吟味し、お奉行まで報告するのが、本来の吟味方与力としての役目である。
無論その多くは、事件とまでは呼べぬ代物だが。
事件簿を見る時、彼が念頭に置くのは二つのみ――その内の一つは『殺』なる字。してもう一つは『菖蒲』なる印なのだ。
「あいつ、ええ加減やからなあ!」
そんな破近の目に、やがて飛び込んだもの。
そこには、この二つとも含まれていた。
*西村京太郎「殺しの双曲線」への、ほんの1%のオマージュ
*ちなみに、このTAMAKIが最も愛するミステリです。