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三十二

 これを見た喜助


「こんな小僧も加えるんで?」


 だが、破近が諭すように

 

「な、喜助。年ちゃうって、経験がものを言うんやって」



「でけたわ!」


 ずっと何か言いたげな喜助、ここで


「ねえ、旦那? 煙突から縄使って入ってきたんでしょ?」


 だがあっさり


「ちゃう、と思うわ」


「ちゃ、ちゃうって? じゃあ、あの縄は?」


 これに破近


「確かに、素人には時間がかかるかもしれへん。おまけに昨夜は、あの雨や……そやけど、不可能ではないわな?」


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