二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

三十九

「お雅は今の女房ですが、四十路そこそこですな。そして息子の新吉は二十歳でして」

　この親分の報告に続き、喜助も

「お多恵は先妻でして、五十路半ばですね。甚九郎さんと別れて、五年ばかし経つみたいです」

「そっか」

「それと、甚九郎さんとの間にできた息子と暮らしてて。で、こいつも連れてきますんで？」

　これに破近

「あの赤死館の表戸やけんどな。あれを取り外したり、再び取り付けるのは、どう考えても一人じゃ無理なんやわ」