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六十九

「……」


「薄暗い中を急いでいた、そんなおたくなあ……馬でな、ばあさんを跳ね飛ばしたんとちゃうんかい?」


「え?」


 口を開けたまま、閉じるのも忘れている船虫様


「でな、そこにおってたまたま目撃してたんが、殺された三人や。つまりな、見て見ぬ振り……」

 ここで橘殿に目やった破近


「いや、おたくが強要したかも、や! 何も見てないなってな!」


 ようやく口をパクパクと動かし始めた船虫様、部下に向かって


「お、お、おい、橘!」


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