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三十

「で、では、あなたの前の吟味方というのは?」


「わいの前任者かいな? そのおっさんな、悪さしたから牢の中にぶち込んでやったわ」


「ろ、牢の中だって?」


 驚きのあまり、言葉より丁寧さが失せてしまった相手の男。


「そや。半年前にこだわるから言うけんどな、その時はな、吟味方は不在やったわ!」


「ふ、不在……」

 そうつぶやいた後、隣を見た男。それに相棒も初めて口を開き


「人違いかと」


 これに頷いた男、再び破近の方を向き――


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