二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

七

「で、増吉はん？　お美津ちゃんって、どこに奉公にいってたん？」

「は、はい。宝町の西陣屋さんに、世話になっておりました」

「あ、あの呉服問屋かいな」

　頷く破近、その目を喜助に向けている。

「では、早速ひとっ走りしてきやす！」

　喜助が走り去って、破近が再び

「で、肝心な事聞くけんど、何か心当たりってありまへん？」

　これには母親の方が

「こ、こんな気立てがいい子……みんなから可愛がられて」

「うんうん、そうでっしゃろな」