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三十

 見ると、襖のところに老婆が立っている。


「これは」

 お君さん、すぐに姐さんへ


「……婆様のお岩にてございます」


「お初にお目にかかります。このお君さんの馴染みで、お江戸から来ました冷奴と申します。そしてこれらは、この私の護衛役とでも言いますか……」


 そこに護衛の一人が


「初めましてえ、即身仏様あ!」


「何じゃと、娘?」

 ギロリと睨んできた婆様、その場で二度ばかし跳び跳ね


「ほれ、この通りちゃんと生きてるじゃろが!」



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