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二十二

 ご主人様の制止も何のその――その口より吐かれた炎、離れた松の木を一瞬にして燃え尽くしてしまった。


「ぎ、ぎゃっ! て、天狗だっ!」


 破近、腰を抜かした相手に


「な? そんじょそこらの、おなごとちゃいますねん」




「くれぐれも、姐さんのこと頼むわな!」


 沖に向かう舟に手を振る破近。


「わかってますがなあ!」


 ご褒美の薄紫がよほど嬉しかったのか、元気一杯のくの一。

 一方の少年はというと、早くも虫眼鏡で海中を覗きこんでいる。



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