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十五

「ご主人様! こっちこっち!」


 見ると、手を大きく振ってる蕾。


「やっぱ、あいつら早いわな」


 髪を結ったくの一、いつもの柿色の着物を身にまとってる。


「よく似合ってるよ、蕾ちゃん」


 これに、姐さんの藤色の着物の袖を引っ張りながら


「いいなあ、この色」


「ん? 藤色が好きなのかい?」


「うんうん。紫も一枚くらいは欲しいなあって」


「そうかい、そうかい」

 姐さん、傍らのご主人様を見やり


「誰かさんにでも、おねだりしてみたら?」



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