二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

七十九

「何です？」

　笑みを浮かべる破近、だがその青き目は笑っていない。

「まぎれものう、人様のですねん」

「ひ、人の血だって？」

　互いに顔を見合わせる面々だったが、菊やんだけは破近の方に目をやっている。

「よ、よもや、その腕の包帯……」

「ま、ええやん」

　そうとぼけた男、女将と番頭に向かって

「こう見えても、父親譲りで蘭国医術をかじってますんや」

　その言葉に聞き覚えのあるお凛

「ら、蘭国の……そ、それがどうかしましたか？」