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第四十二話 既視感の殺人 一
「だいたいあなたらってね、元上司に向かって坊主なんて呼べるの?」
「別に、さん付けすれば失礼ないかと」
「ま、松殿……」
「はいっ!」
「藤殿まで、何なんです?」
「今のガキンチョよりも、はるかに品格は上かと」
「手を挙げてまで言うことですか!」
そこに、襖の向こうより
「ご歓談中、失礼いたします」
これにも坊主さん
「ご歓談なんかじゃないですよ!」
「はあ? 何を八つ当たりしてまんのや……で、そこのもん、何の用です?」
*アガサ・クリスティ「牧師館の殺人」への、ほんの1%のオマージュ