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七十二

「あはは、冗談ですわ」


「そ、そうでしたか……しかし今回の件、久々に昔を思い起こしてくれました」


「でっしゃろな」


「その意味にて、心より感謝しておりますぞ……」

 ここに及んで初めて笑顔を見せる者、傍らへと目をやり


「ね、旦那?」




「ホンマに残念でしたわ!」


 その昼すぎに、同心らと談笑している吟味方。そこに松殿が


「だがお主、考えてもみろ」


「何をでっか?」


「あのような御仁と共に働くなんぞ、どれだけ緊張することか」



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