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六十七

 それを聞き、ムクッと頭を上げてきた菖蒲殿


「この馬鹿たれが! 同心界の伝説レジェンドに向かって!」


 だが柳さん、その掌を左右に振り


「今はな、単なる隠居の身だから……と言うか、吟味方与力様に向かって、その言い草とは聞きずてならぬが?」


 これに、ちびりそうな菖蒲殿


「く、口が過ぎました!」


「口は災いのものだぞ」


「は、はい」


 そんな寸劇に、大いに笑っている破近


「あはは! 菖蒲殿な、わいの言う事よりはるかに素直に聞いてまんなあ」



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