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三十二

 これを聞くも、微動すらしない村人ならびに、情けなき同心ならびに、へたれ医者。

 だがこれに構うことなく、中へと飛び込んだ平次だが――


 やがて煙の中から、その両腕に稚児ややこを抱え姿を現してきた。


「お、お光!」

 

 泣き叫びながら駆け寄る母親に


「安心しな。かすり傷ひとつ負っちゃいねえ」


「あ、有難うございます!」


 これを見て、合わせた両手を頬にやる菖蒲殿


「あらま、何と素敵な」


 ここにおよび、主従関係が何やらおかしな関係に?

 


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