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三十一

 そしてそのまなこを擦り、再び目を凝らすと


「も、燃えているですって?」


 はたして、一軒の家が炎に包まれている。


「い、一大事です!」


 だが、ここがこの者たる所以で、自ら消しに行けばいいものを――駆け足で向かった先は


「へ、平次さん! か、火事です!」


「ん?」


「火事ですって!」


「か、じ?」

 目を瞬かせた男だったが、すぐに跳ね起き


「ど、どこで?」



 燃え盛る家の前まできた二人だったが、そこに女が泣き叫び


「な、中に、娘が!」



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