二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二十七

「つまらん煙とか焚かせたからだ！」

「水溜まりに油なんぞ撒かせやがって！」

「挙句の果ては死人まで出してからに！」

　そして、とうとう

「帰れ、帰れ、帰れ……」

「帰れ、帰れ、帰れ……」

「帰れ、帰れ、帰れ……」

　もはや大合唱である。

　これに思わず顔を見合わせた同心と医者。そして図らずも同じ言葉を口にしている。

「お江戸に帰ろう」

　だがこれには、平次が

「お江戸に帰るですと？　いってえ、どの面下げて帰りなさるおつもりで？」