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十七

「まあ菖蒲の旦那、これも仕事ですんで」


 隣よりなぐさめる平次なる者、ついこの間に瓦版の公募にて採用された、お抱えの岡っ引きである。してその歳、菖蒲殿より一回りほど上と見た。


「そりゃそうだけどさあ。何であの竹輪麩ちくわぶだけ駕籠で、この私らは歩きなのよ!」


「官医ですからな」


「フン。あーあ、おもしろくないこと!」


 そんな餓鬼に平次が


「しかし仕事とは言ったものの相手は蚊の大群、はたしてどこでお役御免となるのか……」



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