二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二

「その通りでんな、偉そうに君臨してますけんど」

　こんな皮肉にもとれる、破近の言葉に

「案外、生きてるというより、生かされてるのかもしれませんねえ」

　何やら哲学めいた話になったところへ、遠くより

「だ、旦那あ！　てーへん……ほどって事でもないですがあ！」

　それを一瞥した旦那

「ここんとこ、あいつって壊れてるわなあ」

　喜助が駆け寄った瞬間

「じゃあ、私はこれにて」

　挨拶もそこそこに、さっさと背を向け去って行った姐さん――