3259/3502
第四十一話 萌黄は危険 一
例の一件もひとまず解決をみ、平和な朝を取り戻した南町界隈。そして、このいつもながらの橋も――名を忘れがちなので、書き留めておくが――こおろぎ橋とて同じこと。
「いろいろ大変でしたねえ」
いつもながらに気遣ってくれる冷奴姐さん。
「女王蝉に群がった雄蝉どもって、この自然界同様にはかなきもんでしたわ」
「自然界って言葉、初めて耳にしましたよ」
少々驚いた風の姐さんだが
「この私らも、その中で暮らしてるんですねえ」
*クリスチアナ・ブランド「緑は危険」への、ほんの1%のオマージュ