二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

百三十九

「ええでっか？　敵も味方もなく、皆はん？」

　一応、念押しした吟味方

「この紙はでんな、三椏っちゅう和紙の三大原料の一つに当たる植物からできてまんねん」

　これに感嘆した弟子

「さすがです！」

「あのな、これでも一応調べてるんやって」

「でな？　瀕死の利平はんが様々な紙の中から、何で咄嗟にこいつを選んだんか……ここですわな？」

　これにまさかの敵方の主が、やはり孫娘をかばいたい一心で

「それはのう、賊の正体を示したからに違いないじゃろて」