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「噂のお冴さんですね?」


 さすがに、勘の良いところを見せる藤殿。


「大当たりです。それと弟の、これがしっかり者の又三くん……そんなところです」


「では、お三枝さんの亭主、つまりその姉弟の父親はすでに他界してるんですか?」


「ん?」

 ここで腕を組み、天井を見上げる氷助


「えっと……あ! いました、いました! 影が薄いのでコロッと」


「はあ。で、何という名なんです? その亭主って」


「確か又助とか又吉とか、そんな感じです」



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