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九十八

「薬が、どうかされましたか?」


「そそ、松殿。やはりね、砒素が混ぜられたのは卸元の横島屋にて……これが最も自然な考えでしょ?」


「確かにそうですが」


「でしたらその毒を混ぜた横島屋の誰かさんってね、一昨日の日没から昨日の朝の間に家に居なかった者になるでしょ?」


 これに目を見張った馬同心


「おお! さすが元……コホン、明智様だけのことはありますな!」


「でしょ? でしょ?」


 同意を得られ、すこぶる満足気な元筆頭同心。



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