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九十五

「自分な、筋金入りの阿呆やろ? 何が今更、『しっ!』やねん」


「あ、つい」


「もうホンマに」

 呆れ顔の破近、再び周囲に目をやり


「泪橋下で見つかった定吉、砒素を盛られたと思われる半次、部屋内にてメッタ突きされた利平……一見バラバラに見えるこの三つがでんな、点同士を結んだ三角になったわけですわ」


 この詳しき話に


「おい!」


「松はんまで、なに手を挙げてますんや?」


「あ、つられた」

 

 慌てて前脚をたたんだ、案外な松殿――



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