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九十四

「ほな、皆はんが戻ってきたところで」


 これに挙手してきた藤殿


「はい!」


「はいはい」


「菖蒲殿が欠けておりますが?」


「あのおっさんはな、すでに遠出の支度をしてるわ。で、代わりにこいつが……」


 そのこいつ、目を輝かせ


「探り屋の氷助です! このような和に入れ、すこぶる感激しております!」


「……ちゅうわけや」

 そして破近、あらためて皆を見回し


「この氷助やけんど、横島屋の依頼で三名の素行調査を受けてたんや」


「しっ!」



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