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七十

「な、何です? さっきから何度もこっちを見て」


 破近、このビビってる相手をギロリと睨み


「さては、紙切れに火が燃え移って灰にしてもうたんやな?」


「灰。あ、いや、はい」


「自分、大事な証ってわかってるんか?」


 ここで、さらに丸眼鏡くんが


「行灯の枠で火を叩き消して、そこの菖蒲殿が」


「そやから跡形もなくなったんか」


「はい。で、その時、菖蒲殿が……」


 これにとうとう本人が


「んもう! 黙って聞いてたら、菖蒲、菖蒲って!」



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