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十一

 この時、隣から小坊主が


「ねね、鈴木様?」


「ん? 何や、まだおったんかいな?」


「私の実家は宝町なんでして……」


「それが何や……へ? た、宝町やて?」

 破近、すぐに地図を取り出し広げてみせ


「なな、どこら辺やねん?」


「えっと……」


 これに相手が地図を指でなぞりながら


「あ、ここら辺りです」


「何や、八丁堀の目と鼻の先やん!」

 そして破近、目を細めて地図を見ている内


「はあ、一本でも日本橋かいな……って、舐めとるやろ!」


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