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三十八

「私は今から、その奇岩堂なる薬屋を訪れますので……では氷助さん、またお会いしましょう!」


 こう言って背を向けようとした菊やん。そこに笑顔の氷助が


「何やら縁起でもない名ですね、薬効かんどー! なんちゃって」


 しかし相手は、さっさと行ってしまった。

 その後ろ姿をぽかんと見送っている探り屋


「……やはりついてませんね」


 だがそこは真面目な男、すぐに気持ちを切り替え


「じゃあ、三番目の人にでも会いに行くとしましょうか」



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