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二十九に

 持込厳禁とばかりに、けんもほろろに追い出されてしまった氷助。仕方なく道端に座って、鮪を口にしている。


「醤油でも欲しいところだなあ」


 無味乾燥とまでは言わないが、それもやはり美味とは程遠い。

 氷助、鮪を無理やり喉に通したところ


「あれえ? ひょっとして、氷助さんじゃないですか!」


 いきなりの声に、お約束通り


「ゴ、ゴホゴホ……」


「あ、すみません。お食事中だったとは」

 若者、すぐの己の水筒を差し出し


「ささ、これを」



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