二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二十七

　あまりにもしょうもないゆえ、そこら中が呆れ顔のなか

「はい！」

「もう、おこちゃまか？　手え挙げんでええって、言うてるやろ」

「あ、すみません。条件反射なもので」

　真面目なる性（さが）によるものか。そんな藤殿が

「今の小芝居には、どのような意味が含まれているのです？」

「小は余計やな」

　そう言いながらも、何故か吟味方の目は菊やんを捉えており

「なあ？　三度目にようやく引き戸が開いた時やけんど、もっと細かく言ってくれへんか？」