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百十九

 これにとうとう腕をまくりあげた、ご主人様


「き、貴様らな、その舌、切り落としたるわな!」


 なおも続く壮絶なるいがみ合い。

 罵声が飛び交う中、割って入った木俣様


「まあまあ、どちらとも落ち着けい」


 まだ余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だったが


「おっさん、邪魔しいないな!」

「そのドタマあ、燃やすぞお!」


「な、何だと、このわしに向かって!」


 宿全体を巻き込みそうな騒動の中、いきなり環さん、その両手を差出し


「ど、どうぞ、一刻も早くお縄に!」



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