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九十六

 三たび戻ってきた三叉路。

 破近、今度は林の中を通る道を眺めている。


「確か緑丸がしたためとったなあ。すぐに後ろから賊がやって来たってな」


 そして海沿いの道にも目をやりながら、腕を組み始めた。


「本道を引き返してきたら、普通はこっちゃに行くはず。で、駕籠が見当たらないとなって、この分岐まで引き返し、今度は林の中の道を追っかける……どう考えたって、すぐには追いつかんわな」


 どうやら、ここが腑に落ちぬ様子である。



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