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九十三

「ご亭主に会いたいんやわ」


「あのう、ずっと独り身なもんでして」


「あ、さいでっか」

 破近、この答えに驚いた風もなく


「ほんなら、一昨日の話でも聞かせてもらえまへん?」


 逆に女の方が目を丸くしている。


「な、何でおわかりに……その目のせいですか?」


 これにニヤリと吟味方


「そやねん。で、何があったん?」


「あ、はい。実は男のお客にいきなり腹を殴られ、うずくまっているところを縄で縛られ……」


「やっぱ、思うた通りやな」



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