二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

八十三

「これこそ、影縫いですう！　参ったかあ？　この無精髭え！」

「く、くそババア、卑怯な手を使いやがって！」

　しかし蕾、いちいちそんな戯言なんぞには構うことなく

「じゃあ、さらに卑怯な手でえ……いでよ、我米良（がめら）あ！」

「う、うわっちっちっ！」

　一瞬で炎に包まれた男。そこになおも

「熱いですかあ？　ならばあ……秘技、絶対零度お！」

　今度は氷漬けとなってしまった男、その口がすぼんだまま――おそらく、鬼ババアと言いたかった模様。