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六十七

 くの一を叩き起こし早々に交代した緑丸、その穴より部屋の様子をうかがっている。


「出歯亀みたいで、親には見せられないでつ」

 そうつぶやいて、すぐに呪文を唱えるかの如く


「くるな、くるな、くるな、くるな……」


 ここまで弱気な緑丸は見たことがない。


 やがて、いきなり部屋が真っ暗になった。


「ああ、神様に見捨てられたでつ」


 そっと木俣様の蒲団に近づく影一つ。

 これまた静かに天井板を外した少年――相手の位置を確認している。



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