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三十二

 一瞬呆気に取られた二人だったが


「私が後を追いますので、藤殿は鈴木様まで!」


「了解です!」


 すぐに外へと飛び出していった。

 これを見た菖蒲殿、狐につままれた如く


「な、何なのよ、いったい?」




 無事、娘を連れ戻してきた菊やん。

 やがて現れた破近、駆けてる最中に藤殿より事情を聞いたとみえ――開口一番


「ハアハア……しょ、菖蒲はんな!」


「な、何よ、いきなり? ハアハアして」


「自分を護衛の役目に回してりゃよかったわな!」



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