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二十九

 一方こちらは、いつもの番屋。先ほどより昼寝と決め込んでるのは、やはりこの女――っぽい男。

 そしてその戸口にて、中に入るのをためらってる一人の娘がいる。

 やがて――ようやく決心がついたとみえ、その重い足を踏み入れ


「し、失礼いたします」


 だが返事はない。

 この想定外な事に再び躊躇した娘だったが、もう一度きりと思い


「失礼いたします!」


 少々声を大きくしたのが効を奏し


「ん? 何なのよ? せっかく人が休んでるというのに」



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