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第三十八話 お奉行最後の旅 一
「こりゃまた、えらくご機嫌斜めですね? 横になってるくせに」
「何やて?」
何だか気まずい雰囲気になってきた時、さすがに察しが良い少年
「喜助さん、コーヒーでもどうでつ?」
「ん? あんな代物、飲んでるやつの気が知れ……あ、いや緑丸、水を一杯くれ」
「それはいいでつが、ここには何をしに?」
これに思わず膝を打った喜助
「あ、そうだった! 実は旦那……」
だが見ると、再び目を閉じている。
「じゃあ代わりに……あのな、緑丸」
*F・W・クロフツ「マギル卿最後の旅」への、ほんの1%のオマージュ