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六十九

「よし、汚名挽回だ!」


 これに所謂ボンボンで、ある程度の学は身につけている明智様が


「桜殿? そこって汚名返上もしくは名誉挽回ですよ」




「はて? 吉次、ですと?」


 この太助なる口入屋、確かに胡散臭そうな輩ではある。


「五年前に船頭として屋形船の船主に斡旋したはず。知らぬとは言わさぬ!」


 相手の有無を言わさぬ態度に、やや怯んだ男


「ちょ、ちょいとばかしお待ちを」

 慌てて棚の台帳を手に取って


「ええっと……あ、ありやした」



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